「ひらがなは読めるのに書けない…」と心配する前に知っておきたい発達の順番
「ひらがなは読めるのに、自分では書けません」
「文字を読めるようになったのに、書こうとすると嫌がります」
「同じ年齢の子は書けているのに大丈夫でしょうか?」
幼児期の保護者からよく聞かれる相談の一つが、
「読めるのに書けない」
という悩みです。
文字が読めるようになると、
次は書けるようになることを期待してしまいます。
そのため、
「読めるなら書けるはず」
と思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、モンテッソーリ教育では、
読むことと書くことは別の能力だと考えています。
実際、多くの子どもは
「読む力」が先に育ち、
「書く力」はその後に発達していきます。
今回は、読めるのに書けない理由や、文字を書くまでの発達の流れについて解説します。

読めるのに書けないと心配になる理由
よくある保護者の悩み
年中・年長頃になると、
周りの子どもの成長が気になり始めます。
例えば、
- 名前を書いている
- 手紙を書いている
- ひらがなドリルをしている
そんな姿を見ると、
「うちの子はまだ書けないけど大丈夫かな」
と不安になることがあります。
特に、
読めるのに書けない場合は、
「理解しているなら書けるはずなのに」
と思いやすいものです。
しかし、実はそこに大きな誤解があります。
読みと書きは別の能力
読む力
文字を読むためには、
主に次のような力が必要です。
- 文字の形を認識する
- 音と文字を結びつける
- 言葉として理解する
例えば、
「あ」という文字を見て、
「あ」と読めれば読む力は成立しています。
読むことは主に目と脳を使う活動です。
もちろん簡単ではありませんが、
比較的早い段階で身につきやすい力です。
書く力
一方、書くことにはさらに多くの力が必要です。
例えば、
- 鉛筆を持つ
- 力加減を調整する
- 手を思った通りに動かす
- 見本を見ながら形を再現する
- 枠の中に収める
など、
非常に複雑な動作が求められます。
つまり、
読めることと書けることは同じではありません。
読む力が育っていても、
書くための準備が整っていなければ、
文字はうまく書けないのです。

書けるようになるまでの発達
指先の発達
文字を書くためには、
指先の細かな動きが必要です。
例えば、
- ボタンを留める
- 洗濯ばさみを使う
- ビーズを通す
- ハサミを使う
こうした活動は、
指先の筋肉を育てます。
指先が十分に発達していない状態では、
鉛筆を長く持つことも難しくなります。
そのため、
書く前にはまず指先を育てる経験が重要です。
運筆能力
運筆能力とは、
鉛筆やペンを思った通りに動かす力です。
例えば、
- まっすぐ線を引く
- 曲線を描く
- 小さな形を書く
ためには、
手首や指をコントロールする力が必要です。
大人にとっては当たり前の動作でも、
子どもにとっては高度な技術です。
運筆能力が十分でないと、
文字の形を知っていても書けません。
モンテッソーリ教育の考え方
読みが先
モンテッソーリ教育では、
一般的に
「読みが先に育つ」
と考えています。
なぜなら、
読むために必要な準備よりも、
書くために必要な準備の方が多いからです。
実際、
子どもは文字を読めるようになった後、
しばらくしてから書けるようになることがよくあります。
これは自然な発達の流れです。
書きは後から育つ
モンテッソーリ教育では、
文字を書かせる前に、
書くための準備を丁寧に行います。
例えば、
- 日常生活の活動
- 指先を使う作業
- 線をなぞる活動
- 図形を描く活動
などです。
十分な準備が整うと、
子どもは驚くほど自然に文字を書き始めます。
無理に練習させなくても、
「書きたい」
という気持ちが生まれることも少なくありません。

家庭でできるサポート
では、
読めるのに書けない子どもには、
どのような関わり方をすればよいのでしょうか。
文字を書くことを急がない
まず大切なのは、
焦らないことです。
読める力が育っているなら、
文字への興味は確実に育っています。
書く力はその後から追いついてきます。
指先を使う遊びを増やす
文字練習よりも、
指先を使う活動がおすすめです。
例えば、
- 粘土
- 折り紙
- ハサミ
- ブロック
- ビーズ通し
などがあります。
楽しみながら書くための土台を育てることができます。
お手紙ごっこを楽しむ
「書く練習」としてではなく、
伝えたい気持ちを楽しむことも大切です。
最初は絵や記号でも構いません。
「書いてみたい」
という気持ちが、
文字習得の大きな原動力になります。
読み聞かせを続ける
文字を書けなくても、
言葉の力は育っています。
読み聞かせを続けることで、
語彙や表現力が豊かになり、
書く力にもつながっていきます。

まとめ
「読めるのに書けない」
という状態は、
決して珍しいことではありません。
むしろ、
子どもの発達ではよく見られる自然な姿です。
読むことと書くことは別の能力であり、
書くためには
- 指先の発達
- 運筆能力
- 姿勢
- 集中力
など、多くの準備が必要です。
モンテッソーリ教育では、
文字を書かせることを急ぐのではなく、
まずは書くための土台を育てることを大切にしています。
もし今、
お子さんが読めるのに書けないとしても、
焦る必要はありません。
その子のペースで準備が整ったとき、
文字を書く力は自然に育っていきます。
大切なのは、
「今書けるかどうか」ではなく、
文字や言葉を好きになることなのです。