子どもの「こだわり」が強いのはなぜ?同じことを繰り返す理由と敏感期

集中する様子

「毎日同じ服じゃないと嫌がって、洗濯が間に合わない……」

「いつもと違う道を通っただけで、大泣きしてしまう」

「同じパズルを何十回もやっていて、これでいいのか心配になる」

子どものこだわりの強さに、戸惑った経験はありませんか?

大人から見ると、どちらでもよさそうなことなのに、子どもにとっては絶対に譲れない。理由を聞いても、うまく説明できず、泣いたり怒ったりすることもあります。

「これはわがままなのかな?」

「どこまで付き合ってあげればいいの?」

「同じことばかり繰り返していて、成長につながるの?」

そんな疑問を持つ保護者の方も多いのではないでしょうか。

実は、幼い子どもが物の位置や順番にこだわったり、同じことを何度も繰り返したりする背景には、発達に関わる理由がある場合があります。

モンテッソーリ教育では、子どもが物の場所や順番、生活の流れなどに強い関心を示す時期を「秩序の敏感期」と呼びます。

この記事では、子どもが同じことを繰り返したがる理由や、秩序の敏感期の特徴、尊重したいこだわりと介入が必要なこだわりの違い、家庭でできる関わり方について詳しくご紹介します。

ピンクタワー

目次

子どもが同じことを繰り返したがるのはなぜ?

「いつも同じ」が安心につながる

同じ服、同じ道、同じ絵本。

大人から見ると「たまには違うものにすればいいのに」と思うことでも、子どもにとっては大切な意味がある場合があります。

幼い子どもにとって、周囲の世界にはまだ分からないことがたくさんあります。

次に何が起こるのか、どこへ向かうのか、どんな順番で物事が進むのか。

大人には当たり前の生活でも、子どもは毎日の経験を通して少しずつ理解していきます。

その中で、いつも同じ服を着たり、同じ道を通ったりすることは、子どもに安心感を与える場合があります。

例えば、毎朝同じ道を通って保育園へ行く場合。

「この角を曲がったらパン屋さんがある」

「その先に公園が見えたら、もうすぐ保育園」

と、子どもは周囲の景色から次の出来事を予想できるようになります。

「いつも同じ」という経験は、子どもが安心して周囲の世界を理解するための手がかりになるのです。

世界の「決まり」を確かめている

子どもは、同じ経験を繰り返すことで、物事の順番や関係性を学んでいきます。

例えば、毎晩同じ絵本を読んでほしがる子ども。

大人は「昨日も読んだのに」と感じるかもしれません。

しかし、子どもは次のページに何が出てくるのかを予想したり、お気に入りの場面が登場するのを楽しみにしたりしています。

同じ道を通りたがることも、周囲の景色や順番を確かめる経験になっている場合があります。

繰り返しは、単に同じことをしているだけではありません。

子どもが自分の周りにある「決まり」を理解しようとしている姿とも考えられます。

繰り返すことで「できる」を自分のものにする

同じ遊びを何度も繰り返す理由は、安心感だけではありません。

子どもは繰り返しを通して、体の動かし方や道具の扱い方を身につけていきます。

例えば、同じパズルを何十回も完成させる子ども。

最初はピースの向きが分からず時間がかかっていても、繰り返すうちにスムーズにはめられるようになります。

同じ動作を何度も経験することで、指先の使い方や形の違いなどを確かめている場合があるのです。

大人から見ると「もうできるのだから、次の遊びに進めばいいのに」と思うかもしれません。

しかし、子どもにとっては、できるようになったことを繰り返すこと自体が楽しい場合もあります。

模写 水彩画

モンテッソーリ教育の「秩序の敏感期」とは?

敏感期とは、特定のことに強い関心を示す時期

モンテッソーリ教育では、子どもが特定の活動や能力の獲得に強い関心を示す時期を「敏感期」と呼びます。

例えば、言葉を吸収することに強い関心を示したり、手を使った細かな動作を何度も繰り返したりする姿です。

敏感期には、言語、運動、感覚、秩序など、いくつかの種類があると考えられています。

ただし、すべての子どもに同じ時期、同じ形で現れるわけではありません。

子どもの興味や発達によって、現れ方には違いがあります。

関連記事:敏感期とは?0〜6歳の敏感期一覧

秩序の敏感期とは?

秩序の敏感期とは、物の位置や順番、生活の流れなどが一定であることに、子どもが強い関心を示す時期です。

一般的に、1歳前後から見られ、2〜3歳頃に目立つことがあると説明されますが、時期には個人差があります。

例えば、次のような行動です。

  • 靴は右足から履かないと嫌がる
  • お気に入りのコップでないと飲みたがらない
  • 家族の座る場所が変わると怒る
  • 毎日同じ道を通りたがる
  • 物がいつもの場所にないと気にする
  • お風呂や寝る前の順番にこだわる

こうした姿は、秩序の敏感期という考え方から理解できる場合があります。

ただし、子どもの強いこだわりが、すべて秩序の敏感期によるものとは限りません。

感覚的な好みや不安、気質など、さまざまな理由が関係することもあります。

こだわりは「わがまま」とは限らない

例えば、いつもお母さんが座っている椅子に、お父さんが座ったとします。

大人にとっては、誰がどこに座っても大きな問題ではないかもしれません。

しかし、子どもにとっては「お母さんはここに座る」という決まりがある場合があります。

その決まりが突然変わると、戸惑ったり、強く嫌がったりすることがあるのです。

また、靴を自分で出す順番や、寝る前に読む絵本の順番など、子どもなりの「いつもの形」が決まっていることもあります。

こうした行動を単なるわがままとして捉えるのではなく、「この子にはどんな順番や決まりが大切なのだろう」と考えてみましょう。

子どもの行動の見え方が、少し変わるかもしれません。

同じ遊びを何度も繰り返すのは問題ない?

大人には見えない目的があることも

同じ箱のふたを何度も開け閉めする。

積み木を並べては崩す。

同じ場所に物を置き直す。

大人には意味がないように見える反復にも、子どもなりの目的がある場合があります。

例えば、箱のふたを開け閉めする動作では、手の力の入れ方や動かし方を確かめているのかもしれません。

積み木を並べる活動では、形や間隔、並んだ状態を楽しんでいるのかもしれません。

音や感触を楽しんでいる場合もあるでしょう。

何を目的にしているかは、外から見ただけでは分からないこともあります。

だからこそ、すぐに止めたり、別の遊びを勧めたりする前に、少し観察してみることが大切です。

満足するまで繰り返したいことがある

モンテッソーリ教育では、子どもが同じ活動を繰り返す姿を大切にしています。

一度できたら終わりではなく、何度も繰り返すことで、その活動への理解や動作が深まると考えられているためです。

例えば、同じパズルを何度も完成させている子ども。

大人から見ると、すでに簡単にできる活動かもしれません。

しかし、子どもは繰り返すこと自体に満足感を得ている場合があります。

十分に取り組んだ後、自分から活動を終える子どももいます。

安全に取り組めていて、本人が楽しんでいるのであれば、無理に次の活動へ進ませる必要はありません。

「観察」すると、子どもの興味が見えてくる

子どもが同じことを何度も繰り返していたら、次のような点に目を向けてみましょう。

  • どんな動作を繰り返しているか
  • 何をじっと見ているか
  • どんなときに表情が変わるか
  • 途中で困っている様子はないか
  • 活動を終えたとき、どんな様子か

例えば、パズルの完成よりも、ピースを回転させる動作を楽しんでいる場合もあるかもしれません。

観察することで、子どもが今どんなことに興味を持っているのかを考える手がかりになります。

大人が思う「遊びの目的」と、子どもが楽しんでいることは、必ずしも同じではありません。

モンテッソーリ お仕事

尊重したいこだわりと、介入が必要なこだわり

できる範囲で尊重したいこだわり

子どものこだわりは、すべて変えさせる必要はありません。

安全上の問題がなく、生活に大きな支障がない場合には、できる範囲で尊重してみましょう。

例えば、次のようなこだわりです。

  • 毎日同じ服を着たがる
  • お気に入りのコップやお皿を使いたがる
  • 同じ絵本を何度も読んでほしがる
  • 靴を履く順番を決めている
  • いつもの道を通りたがる
  • 寝る前の流れを変えたくない

同じ服を毎日着たがる場合には、洗い替えとして似た服を用意する方法もあります。

また、お気に入りのコップやお皿は、使いやすい場所に置いておくとよいでしょう。

子どもが安心できる「いつもの形」を、無理のない範囲で守ってあげることが大切です。

ただし、すべての希望に応える必要はありません。

家庭の状況に合わせて、対応できる範囲を考えましょう。

安全に関わる場合は大人が止める

一方で、こだわりを尊重するよりも、安全を優先する必要がある場面もあります。

例えば、

  • いつもの道を通るために道路へ飛び出そうとする
  • ほかの子を押したり、たたいたりする
  • 危険な場所で同じ動作を繰り返す
  • 気温に合わない服装で健康上の危険がある

といった場合です。

こうしたときは、子どもが嫌がっても大人が介入する必要があります。

ただし、ただ「ダメ!」と止めるだけでなく、理由を短く伝えることも大切です。

「車が来るから、ここで止まろうね」

「たたくと痛いから、手は止めようね」

子どもの気持ちは受け止めながら、安全に関する境界線は明確にしましょう。

家族の生活とのバランスも大切

子どものこだわりを尊重したいと思っても、毎日すべてに付き合うのは難しいものです。

例えば、いつもの道が工事で通れない日もあります。

お気に入りの服が洗濯中で着られないこともあるでしょう。

そんなときは、できない理由を伝え、別の方法を提案してみましょう。

「今日はこの道が通れないから、違う道を通るよ」

「いつもの服は洗っているから、今日はこの2つから選ぼうね」

すぐに納得できなくても構いません。

子どもの気持ちを受け止めながら、少しずつ生活の中で折り合いをつけていくことも大切です。

モンテッソーリ お制作

いつもと違って泣いたり怒ったりしたときの対応

まずは「いつもと同じがよかった」という気持ちを受け止める

いつもと違う道を通ったときや、決まった順番が変わったとき、子どもが泣いたり怒ったりすることがあります。

大人からすると、「そんなことで?」と感じるかもしれません。

しかし、子どもにとっては大切な決まりが変わったように感じられる場合があります。

そんなときは、

「いつもの道がよかったんだね」

「いつものコップを使いたかったんだね」

「自分で靴を出したかったんだね」

と、気持ちを言葉にしてみましょう。

すぐに泣きやむとは限りませんが、自分の気持ちを理解してもらえることは、安心につながる場合があります。

できる範囲で元の状態に戻す

もし簡単に元へ戻せることなら、戻してあげるのも一つの方法です。

例えば、子どもが自分で靴を出したかったのに、大人が先に用意してしまった場合。

一度靴を元の場所へ戻し、子どもが自分で取り出せるようにしてみます。

それだけで気持ちが落ち着くこともあります。

ただし、危険がある場合や、家族の生活に大きな負担がかかる場合には、無理に元へ戻す必要はありません。

できることと、できないことを分けて考えましょう。

変化はできるだけ前もって伝える

予定が変わることが分かっている場合には、事前に伝えておくことも役立ちます。

例えば、

「今日は病院に行くから、いつもと違う道を通るよ」

「明日はおばあちゃんが来るから、ごはんの席が変わるよ」

「今日は雨だから、公園ではなく家で遊ぼうね」

といった声かけです。

幼い子どもには、言葉だけで伝わりにくいこともあります。

必要に応じて、写真や絵を使って予定を示す方法もあります。

急な変化を完全になくすことはできませんが、見通しを持てるように工夫することで、受け入れやすくなる場合があります。

数の分野 モンテッソーリ

秩序の敏感期によるこだわりは、いつまで続く?

成長とともに変化することが多い

秩序の敏感期は、一般的に幼児期の早い段階で目立つと説明されます。

成長とともに、以前ほど物の位置や順番にこだわらなくなる子どももいます。

例えば、2歳頃には毎日同じコップでないと嫌がっていた子どもが、少し大きくなると別のコップも使えるようになることがあります。

ただし、変化する時期や程度には個人差があります。

「3歳になったから、もうこだわらないはず」と考える必要はありません。

子どもの様子を見ながら、安心できる環境を整えていきましょう。

こだわりが強く、生活に支障がある場合は相談を

子どものこだわりには、発達の過程で見られるものもあります。

一方で、こだわりが非常に強く、本人がつらそうにしていたり、日常生活に大きな支障が出ていたりする場合には、専門家への相談が役立つこともあります。

例えば、予定が少し変わるだけで長時間強い混乱が続く場合や、食事・着替え・外出などに大きな困難がある場合です。

こだわりがあるという理由だけで、発達上の問題があると判断することはできません。

気になる場合には、園の先生や小児科、地域の子育て相談窓口などに相談してみましょう。

よくある質問

Q. 子どものこだわりを受け入れていると、わがままになりませんか?

こだわりを尊重することと、何でも希望どおりにすることは違います。

安全上の問題がなく、対応できることは受け止めながら、難しいことは理由を伝えて境界線を設けましょう。

安心できる「いつもの形」があることで、気持ちが落ち着き、変化を受け入れやすくなる子どももいます。

Q. きょうだいでこだわりがぶつかってしまいます。

それぞれの気持ちを聞き、物や場所を分けられる場合には工夫してみましょう。

例えば、お気に入りのコップをそれぞれ用意したり、順番を決めたりする方法があります。

どちらか一方だけに我慢を求めすぎないことも大切です。

Q. 同じパズルばかりしていても、成長につながりますか?

同じパズルを繰り返すことにも、形や向きを確かめたり、手の動きを練習したりする意味がある場合があります。

本人が楽しんでいて、安全に取り組めているなら、無理に別の活動へ変える必要はありません。

Q. 家庭で秩序の敏感期に配慮するには、何から始めればよいですか?

まずは、物の置き場所や生活の流れをできるだけ分かりやすくしてみましょう。

靴やおもちゃの収納場所を決めたり、寝る前の流れを一定にしたりすることも、子どもが見通しを持つ助けになります。

まとめ|子どものこだわりには、理由があるかもしれない

子どもが同じ服や同じ道、同じ遊びを繰り返したがるのは、単なるわがままとは限りません。

慣れ親しんだものに安心感を覚えたり、繰り返しの中で周囲の世界を理解したり、動作を身につけたりしている場合があります。

モンテッソーリ教育では、物の位置や順番、生活の流れに強い関心を示す時期を「秩序の敏感期」と呼びます。

子どもが強くこだわっているときには、まず「何を大切にしているのだろう」と観察してみましょう。

危険がなく、家庭で対応できることなら、できる範囲で尊重する。

安全に関わることは、大人が境界線を設ける。

予定が変わるときには、できるだけ前もって伝える。

こうした関わり方が、子どもが安心して過ごすための助けになります。

大切なのは、こだわりを無理になくそうとすることではなく、その行動の背景にある子どもの気持ちや発達を理解しようとすること。

「どうして同じことばかりするの?」と感じたときには、少し立ち止まって、子どもの姿を観察してみてください。

モンテッソーリ久が原子どもの家では、子どもが落ち着いて活動に取り組めるよう、物の置き場所や活動の流れを整えた環境を大切にしています。

子どもたちがどのように活動を選び、繰り返し取り組んでいるのか気になる方は、ぜひ教室での体験を通して、実際の様子をご覧ください。